イリヤの空、UFOの夏

一言でいうと最彼(サイカノ)をより洗練させた感じかな。ぼくはこっちの方が断然好きですがね(後発だからしょうがないか)。
前半のほんわかした学園もので読者のハートを捕まえておいて、後半の怒涛の鬱展開。


戦時下の学校、綾波チックなヒロイン、加持さんみたいな兄ちゃんとおなじみの設定。
結局どういう戦争をしているのか、どうなって決着したかは一切語られず、視点があくまで伊里野加奈(キミ)と主人公の少年(ボク)の関係にFoccusされている点、彼女を選ぶか人類が滅ぶかといった極端な二者択一。まさにセカイ系はこの作品で極まった感じです。(セカイ系という言葉自体現在定義についていろいろ議論されているみたいなので安易に使用しないほうがよい気はする)


最後に伊里野が出撃するシーンは戦時中の特攻隊員のそれとかぶる部分があるのではと思います。
笠井潔のレビューにも引用されていましたが、自分が死ななきゃいけなくなったときの理由付けをはたしてどうするのか?天皇陛下大東亜共栄圏のような理想や信条ために死ねるのか?愛する家族やふるさとのためと考えればどうか?この作品では少年少女の青臭い(失礼!)恋愛にすべて帰着させてはいるのですが、みせかたはとても上手です。


伊里野の周りの大人の立場のほうにも感情移入できます。奪うために与える子犬計画、、ひどい話ですね。

自分が中高生のころに読めばもっと感動できたろうにと少し残念です。でもこれはお勧めです。


アニメにもなりましたが、小説のほうがずっといいです。(アニメのCVは一条さんです。)